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小田尚稔の演劇 「是でいいのだ」(2020年3月)

小田尚稔の演劇

「是でいいのだ」 “Es ist gut”


脚本・演出 小田尚稔
出演 小川葉 加賀田玲 澤田千尋 橋本清 濱野ゆき子


登場人物のひとりである女は、就職活動の面接の前に立ち寄った新宿のマクドナルドで被災する。電車が動かないので、徒歩で家がある国分寺まで帰宅しようとする。中央線沿いを歩く最中、彼女は当時のさまざまな風景をみて、それらの様子から回想をする。歩き疲れて夜空の星をみながら、震源地からも近い実家に住む両親のことを想う。そのときにみた星空の様子は、カント (Immanuel Kant:1724-1804)『実践理性批判』の「結び」の一節、 「ここに二つの物がある、それは〔略〕感嘆と畏敬の念とをもって我々の心を余すところなく充足する、すなわち私の上なる星をちりばめた空と私のうちなる道徳的法則である」カント『実践理性批判』(岩波書店、波多野精一・宮本和吉・篠田英雄訳、1979年、317頁)とともに語られる。

「是でいいのだ」は、イマヌエル・カント『道徳形而上学の基礎づけ』、V・E・フランクル『それでも人生にイエスと言う』という著作を題材にしている作品でもあります。
「君は、みずからの人格と他のすべての人格のうちに存在する人間性を、いつでも、同時に目的として使用しなければならず、いかなる場合にもたんに手段として使用してはならない」カント『道徳形而上学の基礎づけ』(光文社古典新訳文庫、中山元訳、2012年、136頁) 。
フランクルの上記著作の冒頭には、カントの「道徳法則」についての引用がなされています。V・E・フランクル(Viktor Emil Frankl 1905-1997)は、ホロコーストの際アウシュヴィッツに送られ、強制収容所での体験をもとに著した『夜と霧』の作者でもり、極限的な体験を経て生き残った人物です。
本作では、2011年3月の東京での出来事と、カントやフランクルの思索との接続が狙いでもあります。登場人物を通して語られる震災直後の東京の風景。そして、このような逆境や、自分の人生の境遇や環境を受け入れて、少しでも前に進んで乗り越えることをこの物語で描いています。
「是でいいのだ」の公演も今回で四度目です。今回も素敵な出演者、スタッフの方々に恵まれました。ご観劇頂いたお客様の心のなかにいつまでも残り続けるような、いい上演になるように努めます。



SCHEDULE
2020年3月11日(WED)-3月15日(SUN) [全8回公演] 
3/11 (WED) 19:00-
3/12 (THU) 14:00- /19:00-
3/13 (FRI) 19:00-
3/14 (SAT) 14:00- /19:00-
3/15 (SUN) 14:00- /19:00-


※上演時間は約2時間20分程度を予定しております(途中5分程度の休憩が御座います)。
※3/14(SAT)19:00-の回は、上演の記録映像の撮影を予定しております(客席の一部に撮影用のカメラが入ることをご了承下さい)。

ACCESS 
SCOOL
〒181-0013
東京都三鷹市下連雀 3-33-6
三京ユニオンビル 5F

三鷹駅南口・中央通り直進3分、右手にある「おもちゃのふぢや」ビル5階



TICKET
全席自由席・日時指定
予約2800円 当日3300円 学生2500円

※ 受付は各回開演の40分前、開場は20分前です。

STAFF
音楽 原田裕介
音響 久世直樹
記録映像撮影 南香好
宣伝美術 渡邊まな実
協力 シバイエンジン ブルーノプロデュース
企画・制作 小田尚稔
主催 小田尚稔の演劇

CONTACT
web http://odanaotoshi.blogspot.jp
mail odanaotoshi@gmail.com
tel 090-1014-9635(担当)
twitter @odanaotoshi




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Photo by Naotoshi Oda

Editing by Kasumi Minami